2007年6月8日金曜日

持続可能な開発と地球環境問題(元東工大教授西岡篤夫さんのページ)

『持続可能な開発』は、可能なのか。持続可能な開発のための教育、というシンポジウムもありましたが、そこは議論されたのでしょうか。開発し続けたら、いつか限界が来るのでは?

ネット上でとてもためになるページがありました。元東工大教授の西岡篤夫さんのホームページの、

地球環境問題

のページです。

西岡篤夫元教授は、このホームページを作られた1998年に80歳だったそうです。高分子の研究を続けられた科学者が80歳でまとめられたホームページ。ご存命ならば今、89歳? このようなものを私も読むことができるということを可能にしてくれるインターネットは、やはり素晴らしい。

西岡先生によれば、地球規模での人類の将来の問題について考察したのは、まずマルサスの「人口論」(1798年)。今から210年前。人口と食糧の二大要因に着目。

次に注目されるのは、1972年にローマクラブから出た、「成長の限界」。今から35年前。人口、食糧に、工業生産、資源、汚染が加わったそうです。大学紛争が終わった直後の出版で、西岡先生はこの頃から廃棄物処理の基礎研究を始められたとのこと。

「成長の限界」は、ラズロー博士も40歳の時にローマクラブ創設者に依頼されて作成に協力したというレポートです『「地球交響曲第五番」を共に奏でる出演者』より。このローマクラブに模して、博士は後にブダペストクラブを創設します。

持続可能な成長が可能であるのかどうか、西岡先生のページの中には、危機感が表わされています(5.「持続可能な成長」は可能か)。1972年の「成長の限界」では複雑な世界モデルを用いて計算機シミュレーションで1900-2100年の人口、食糧、工業生産、資源、汚染の5因子の動きを調べているそうです。成長に限界を設けないと安定解が得られず、破局が起こると警告したとのこと。

ちょうど、ラズロー博士の近著の「カオスポイント」のタイトルを思い出します。まだ読んでいませんが。

西岡先生のページからは、科学者が科学の進歩の営みを行いながら、生み出した成果が本当に人間の利益につながっていくのだろうか、という自問が読み取れます。多分、科学者・技術者の共通の悩みでしょう。

前世紀末からこれらの課題は「成長の限界」などのレポートで自覚されていて、今世紀をその限界を超える世紀とするために提唱され始めているのが、今年8月の国際システム科学学会でもテーマとして挙げられている「システム思考、その概念の確立、施策の実行」なのでしょう。地球規模で考えることができるようになり、行動することができれば、破局を超えていけるかもしれません。

ラズロー博士は量子力学から、全てはつながっている、地球規模での意識がある、良い方向へ変えて行くために一人ひとりが変わる責任がある、と仰るのですが、西岡先生はどのように考えられるでしょうか。




            
人口論   成長の限界―ローマ・クラブ人類の危機レポート   カオス・ポイント―持続可能な世界のための選択

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